2007年12月アーカイブ
「人が想像できることは必ず人が実現できる」という名言を残した小説家ジュール・ヴェルヌは「月世界旅行」を1865年に世に送り出している。人類は一般に1969年に月面着陸しているわけだから、100年前に人類の月への到達を予知していたといっても過言ではない。日本では幕末や明治維新な頃にである。そんな歴史の急斜面を鑑みれば、ジュール・ヴェルヌならずとも一抹の不安がよぎるのではないだろうか。
一年前までは、パソコンにUSB接続して玩具ミサイルを飛ばすものであったが、一年たった今回は無線で遠隔制御できるように進化した。あくまで玩具としての開発であるが、ワイヤレス化から先への発展は悪い兵器商人ならずとも「想像」してしまう。
リモートデスクトップなどを使えば遠隔操作も実質可能なわけで、動力や無線の距離が増せば、PCから離れた場所にこの危険な玩具を設置して、ターゲットを撃破。スナイパー「ゴルゴ13」のごとく証拠を残さずに立ち去るに違いない。リンク先には製品の音声付映像も公開されているが、職場や学校などでこの発射音を聞いたら2秒以内に退避すべきであろう。
http://www.usbgeek.com/prod_detail.php?prod_id=0739
パソコン。自作のPCであれ、購入するPCであれ、大雑把に言えばパソコン自体でできることは大体同じである。車やバイクはだいだい、大雑把に言えば「走る」のである。飛行機は大雑把に言えば「飛ぶ」。これをプログラミングのオブジェクト指向という概念世界ではメソッドという。日本語で言えば「行為」とも訳せる。
メソッドと対比される概念としてプロパティという概念がある。プロパティはメソッドとは異なり「静的」な存在といわれる。車のプロパティは色だったり、形だったりする。「赤色の車」は、「走る」というメソッドを持ち、「赤色」というプロパティを持つ。こんな具合にベストセラーである「やさしいJava」ソフトバンククリエイティブ 高橋 麻奈 (著)などでは表現される。
世の中の製品を見ると「メソッド」を開発するのは非常に難しい。歴史を遡り、エジソンがフィラメントを数千回燃やす実験をすることによって「発光する」というメソッドを持つ電球が発明された。一方、「プロパティ」は多く存在する。トヨタの車、日産の車、HONDAの車。ある意味プロパティが違うだけだ。PCも「内部で演算する箱」、若しくは「WindowsやMacを動かす箱」というメソッドから脱却するのは中々難しい。それではプロパティを変えてみてはどうだろうか。部屋の面積を図々しく占めるこのパソコンという箱に「発光体」というプロパティを与えるのが以下の商品。悪趣味か否かは別として、インテリアの一部を構成させるというアイデアなのかもしれない。
http://www.logisyscomputer.com/viewsku.asp?SKUID=CS889BL&DID=C001

職人や新人研修などで「仕事は盗んで覚えろ」などという常套句が用いられる。おそらく先人や先輩の動作を「隈なく注視せよ」という姿勢に対する活を入れる意味であって、「俺がいない間にPCに侵入しろ」とか「自分がデスクを離れる間に盗み見しろ」という意味ではないのである。仕事は盗んで覚えろ!と言及する先輩は、後輩がモニタを盗み見した瞬間に「何見てんだテメー」なのである。言葉を「文字列」で考えると微々たる違いであるが、「意味」で考えると常識のラインが見えてくる。EQがもてはやされる所以である。
そんな後輩に常識のラインを教えるには、「仕事は盗んで覚えるものだ」と吐き捨てながら、Laptop Hoodをモニタにかぶせると良い。険悪な師弟関係になるのは間違いない。
http://www.hoodmanusa.com/prodinfo.asp?number=E2000%2D17

フジタカは、顔認証で成人・未成人を判別するタバコ自販機を開発した。顔認証は目や口のしわ、たるみなどをコンピュータで判断する。グレーゾーンは免許証などで本人であることを自動照合する。10~60才の500人で検証したところ、9割の正解率であったという。童顔や若く見える人は、これをすり抜けるわけだ。鏡に向かって自分は若いのか若くないのか?などを試すような遊びも成立しそうだが、白雪姫に出てくる王妃の魔法の鏡のごとく「鏡よ鏡、この世で最も美しいのはだあれ?」と自販機の前でつぶやかないように願いたい。
http://www.fujitaka.com/kao/products.html

Google EarthはGoogleが提供している衛星地球儀ソフト。かたやWorld WindはNASA(アメリカ航空宇宙局)が提供している衛星地球儀ソフト。共に鮮明な画像で、自由の女神からエジプトのピラミッドまで衛星画像や航空画像で世界中を見渡すことができる。共に無料で提供されている。残念ながらGoogle Earthの方が知名度が高く、World Windは知名度が乏しい。
残念ながらというのも、過去に仕事でこのWorld Windを収録する目的で、メールでNASAの開発者とやりとりする機会があったため。担当者曰く、世界や人類の発展のためにこのようなソフトは広く世界に広げて行きたいと。NASAは崇高な世界人類をターゲットにした「理念」を持つ。一方、Googleは崇高な「商業的目的」が見える。Google Earthは、GoogleがKeyhole社を買収して開始されたサービスでもある。背後には壮大な商業的目的がある。でないと買収自体が株主から訴えられる行為になってしまう。
この勝負、当然Googleが勝つわけだ。「理念」だけでは、自分の給与のために必死に計画を立てざるをえない「商業的目的」に適わないのが一般。ただ、もっとも良くないのは、商業的目的が見えない商売。当然泥沼になる。
「Space Navigator」はGoogle EarthやWorldWindといった人気の衛星地球儀ソフトを使うには「より最適なマウスがあったほうがいいはずだ」という商業的目的によってDELLによって商品化されている。使っている際、一般的なマウスの動作では、平面的な動きが中心となってしまうが、これを使えば3D空間ソフトを自由自在に操作できるようにする。黒とブルーとシルバーと未来的な形状も魅力。
http://accessories.apj.dell.com/sna/productdetail.aspx?c=jp&l=ja&s=dhs&cs=jpdhs1&sku=A1275934


MP3という手軽なデジタルファイルフォーマットの普及により、音楽は非常に身近なものとなった。1979年のSONYのウォークマンの発売以来、「音楽」はクラシックなものからごく身近なものへと急接近してきた。ラジオの音楽をテープで採る時代、CDプレーヤーの発売、レンタルCDの普及。MP3ファイルの普及。ipodなどのMP3プレーヤーの普及。ただ、アウトプットであるイヤホンは、大きな変動は無かったと言えるかもしれない。ここに来て「骨伝導」のイヤホンが発売された。耳に挿入する従来のイヤホンとは異なり、カタッと耳の軟骨部にはめる。発売元zelcoの言葉を借りると、「たとえば映画では、官能的且つダイナミックな新しい音を引き起こして、音が音でなく、映画の一部であると認識させる 」と。どんな音なのか。ポイントは骨伝導。いまは懐かしい録音テープで自分の声を録音した経験のある人ならピントくるらしい。自分の声とテープの声では差があり、違和感がある。あれと同じくらいの差があるのだという。天才と評されるモーツァルトと比して、努力と苦悩の作曲家と評されるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが難聴で苦しむ折も指揮棒を歯で噛み、ピアノに押し付けることによって骨伝導を取得、作曲活動を続けたという。

YAMAHAでは、社内のやる気の無い新商品企画部に業を煮やしたのか、built-your-ownという名目でバギーカーのビルドセットを販売している。所ジョージもこのシリーズを所有していたと思われるが、数十種類の商品ラインナップになっている。説明書などはまさしくプラモデルの乗りでアクセサリーも多数。100万くらいの組み立て車なので、そこそこの方々は購入するのかもしれない。一般に人間は圧倒的に「所有感」に喜びを覚える人が多いように思うが、「達成感」や「製作プロセス」に喜びを覚える人々も少なからずいる。所有感は幻想で製作にこそ産業がある。というのが資本主義の祖アダム・スミスのストイックなテーマであるとか。
http://www.yamaha-motor.com/outdoor/products/modelspecs/534/0/specs.aspx

amazonは、ハリーポッターの著者J.K.ローリングの新作「The Tales of Beedle the Bard」を4億5千万円でサザビーズから落札した。作品はハリー・ポッターシリーズの最終巻「Harry Potter and the Deathly Hallows(ハリー・ポッターと死の秘宝)」に登場する世界に7冊しかない本で、革表紙に純銀のムーンストーンが施されている。amazonでは、落札した本の写真を公開しているが、インクで書かれた手書きでの本でところどころで挿絵が見られる。しわしわの紙に手書きのインク。そして世界に7つしかない著名作家の手書き本。つまり、印刷工程がこの本には存在しない。著者が書いたままの本。この本は有名著者の本の希少本なので、この価格が付く。



これら写真を見ながら出版業界を思うに、ひとつのテーマとして「本自体」の個性の価値は存在するように思える。その本を手元に置いておきたいと思う価値。その本が欲しいと思う価値。当然の数学ながら、意外に気づかれない盲点として価格×部数が書籍の利潤を決めるという点がある。
それは雑誌とは違う視点。価格500円の本が1万部売れれば500万円の売り上げ、これを価格2500円で達成するには2000部で事足りのである(2500×2000=500万)。2500円を消費者に払わせるのは500円のそれと比して、当然ながらそれなりの工夫・技量が必要だし、希少価値も必要である。
ただ、1万部と2000部の響きを比較した場合、単純な考察で1万部がすごいと勝手に思ってしまう。物事を簡略化するとわかりやすいとは先人の賢だが、売り上げ500万円を価格1円で達成するには500万部必要である。価格の問題が当然利益には関与する。しかも実際には2000部の方が原価は安いし、返品のリスクも少ない。
マツダは環境にやさしく、スタイリッシュなデザインコンセプトカーを発表した。その名も風籟(ふうらい)。風籟とは「風の音」を意味する。デザインはバットマンカーのような優美な曲線と魅惑の黒色が特徴。3ローター450馬力のロータリーエンジン。マツダのロータリーエンジンは有名であるが、ロータリーエンジンはハイパワーが売りで、燃費の悪さが欠点とされる。よって無茶苦茶に「突っ走る」ことだけを考えるスポーツカーなどスピードを追求するマシンに多い。デザインディレクターでフランツ・フォン・ホルツハウゼンは、「レースカーを模倣しながらも一般道路を走るスーパーカーとレース専用車との間にはこれまでギャップがあった。しかし、『マツダ風籟(ふうらい)』はかつて存在したことのない、そのギャップを埋める架け橋となる車と位置づけた」と述べる。エタノールで走るロータリーエンジンは注目の的となろう。
ちなみに、頑なにロータリーエンジンを開発し続けてきた「MAZDA」。本来つづりは、「MATSUDA」になるはずだがゾロアスター教の神であるアフラ・マズダー (Ahura Mazdā)から字を採る。その名は「智恵ある神」を意味し、善と悪とを峻別する正義と法の神であり、全知全能の最高神とされるとかされないとか。

http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2007/200712/071212.html
魚群探知機の開発は1948年古野清孝、清賢兄弟による魚群探知機の開発が世界初とされる。長崎の港町、口之津で失職中の父と8人の妹弟という絶望の状態から、魚を探し出す機械があれば!と開発に乗り出したのがスタートだった。このエピソードは、NHKのプロジェクトXでも放映されている。開発から何十年も経ち850億の売り上げを上げる上場企業となりGPSや医療機器までも手がける大企業となった。そんな魚群探知機のエピソードとは何ら関係なく「携帯型魚群探知機」を開発したのはNational。価格は1万円。ふと頭によぎったのは、「地球上の魚は大丈夫だろうか?」。攻撃的なフィッシングで「鰯」がいなくなったということはあるまいが、ロバートレッドフォード監督、ブラットピット主演の「リバーランズスルーイット」で魅せた雄大なフライフィッシングがソナー付き魚群探知機付きフィッシングに変わってしまうとなると、あの映画の魅力も激減だなと思う。
http://national.jp/product/hobby/fishing/products/tanchiki/gyotan/index.html


DELLが年末にリリースする予定だという12.1インチのタブレットPC「Latitude XT」は価格$2499。12.1型のタブレットPCはビジネスシーンにもプライベートシーンにも役立ちそうだ。ノートPCにプレゼン用のデータを入れてクライアントの前で説明する際、いちいちノートPCを相手方に廻す様は消えていくかもしれない。Latitude XTは、モニタの明るさ、筐体の薄さで最高級の質を提供するという。Vice PresidentのJeff Clarkeがサイトでおこなったデモでは、画面が縦へとスライドする様子もムービーで流されている。縦に長いexcelを表示させる場合は、モニタを縦長にと臨機応変な変化も可能となる。

http://direct2dell.com/one2one/archive/2007/05/18/15193.aspx
古今東西。労働者と資本家の意見の衝突は労働問題。ビックカメラが残業代不払い問題で30億円の支払いを行ったのは記憶に新しい。鎌倉時代の「ご恩と奉公」というネーミングに代表されるように、日本での労働関係は為政者の「徳」に対しての「労働の奉仕」というような建前があった。金銭のための労働はことさら美徳としない。日本は歴史上この法則が結構長かったり(もしくは市民的な革命は起こっていないという意味で)するので、労働問題は西欧とは異にするように思える。労働者と雇用者の契約意識がしっかりしている西欧では、タイムカードすら信用しない。出席の「代返」が大学の授業のイベントであるように、業務でタイムカードを「代返」しかねないと(詐欺と詐欺の共犯ではあろうが)。LS-836 は、指紋での個人認証を確認した上でのタイムカード機能を提供する。契約社会を徹底するとこういう機材が必要になってくるし、寂しい気もするが合理的でもある。コンプライアンスの徹底は、片方が妥協する構造では決してないのである。
http://www.directron.com/ls836.html

Eagletron PowerPodは自分の持っているDVカメラをPCで遠隔操作できるコントローラ。PCで光学ズームや左右上下の操作を行うことが可能だ。価格は179$。インターネットを使っての遠隔操作も可能とのこと、実際はライブカメラのような監視ツールとしても使えるだろう。たとえば、ペットなどを自宅で飼っている場合など。自宅で寂しく留守番するペットの動向を外出先の旅館やホテルのPCから自宅のカメラにアクセスして、カメラを操作、ペットの状態を窺う。といった使い方も可能だ。

SmartGlobeは、地球儀であるがPCに接続してデータを更新する機能を持つ。更新されるデータは音声データ。「しゃべる地球儀」であり、ワイヤレスペンで指し示したポイントの国情報や地理情報などさまざまな情報がたくさん音声データで詰まっているらしい。ネットで更新されるので常に最新のコンテンツを提供できるという触れ込みだ。
人気があるようで、特に子供の教育用途として人気がある。ただし、データは必ずしも子供向けの音声だけではなく、 (Ages 5-8, 9-14, 15 and up)という区分に情報も分けられている。 また情報だけではなく数人で行えるゲーム機能やクイズ機能もあるという。
ただ、もう一歩進んだ商品を見たいと思う。USBでPC接続ではなく、直接LANケーブルがこの商品につながることを想像すると、夢は広がる。地球儀上にこの商品のユーザーの存在位置が表示され、そのユーザーとオンラインでゲームや会話、チャットができる。子供用であればなおさら、グローバルな教育に役立つことになるだろう。
http://www.oregonscientific.com

ラジコン。いまや懐かしい響きすらある遠隔操作玩具。このラジコン、世界に先駆けて玩具として開発、発売したのが増田屋コーポレーションで大手玩具メーカーを差し置いて商品開発に成功し、世界から注目を浴びたというのが1955年の話だという。当時からリモートコントロールは国家や軍レベルでの開発が主流であったため、日本の中堅玩具メーカーがラジコンを開発し、ホビーの世界へ落としこんだ事は脅威の目で見られていたらしい。このラジコンの持つ可能性に早くから目を付けていれば、現在のロボット産業は日本が強いとはいえ、もっと変わった形のコンシューマーロボット産業が開花していたかもしれない。
他方、MITコンピュータ科学・人工知能研究所所長のロドニーブルックスが1990年に立ち上げたiRobot Corporationはそんな増田屋の流れを忠実に再現したような製品をつくり1億6197万USドルを稼ぎ出す企業を創出した。家庭用・業務用・軍事用と数々のリモートコントロールロボットを製品として開発する。たとえばPackBot 510は、LEDライトと複数のカメラ、カッターやアームを備え障害物を除去しながら進むことができる。操作は写真のごとくほぼ間違いなくプレステコントローラー仕様。
メッセンジャーを使用したことがある人は日本にはどれくらいいるのだろうか。日本ではMSNメッセンジャーが560万人(2007年5月)Yahooメッセンジャーは非公開だがMSNより多いのではないかと推測する。米国では数億人のIDが発行されており、日本よりもユーザー数は多い。
メッセンジャーはブラウザではなく、インストールするネットワークソフトを使って、チャットを中心としたコミュニティを主に形成する。mixiなどのコミュニティサイトと形態的には似る。人とのつながりをコンテンツの中心に沿え、Yahooが検索サイトとしての認知を得た後、ユーザーを増加させた牽引力にもなった。メッセンジャーで提供されるサービスは基本的にそのポータルへと誘引される。Yahooメッセンジャーであれば、Yahoo ! Japanのサービスを使うからだ。日本では携帯電話でのサービスが若年層を中心に独自に進んだ様相を呈し、米国ほどのメッセンジャー文化にはなっていない。
そのメッセンジャー先進国である米国ではメッセンジャー専用端末「Z2」が発売されている。端末はAOL、Yahoo、MSNといった御三家のメッセンジャーに対応し、画面には友人リストが表示され常にログイン状態を確認できる仕様になっている。接続はホットスポットなどワイヤレスでのネットワークアクセスで行う。またオーディオプレーヤー、写真ビューアとしての機能もそなえる。
日本ではコミュニティサイトといえばご存知mixiの急進ぶりが目立つ。mixiにはチャット機能はいまのところ無いようだが、新規ユーザー、ログイン率をさらに獲得してゆくためには、チャット機能をいづれ追加しなければなるまい。その末に見えるのは、mixi専用端末の発売なのかもしれない。amazonとkindleの関係と同じく、人およびコミュニティをサービスとして持つサイトは、アイデア次第ではハードウエアとの融合も可能である(たとえば、端末ログインIDには特典的なサービスを提供するなど)。
ルネサンスの三大発明のひとつに数えられる活版印刷はドイツのグーテンベルクにより15世紀半ばに発明された。それ以降インターネットが普及する20世紀までは絶対的な情報媒体であった。インターネットが普及した昨今でも、いわゆる「情報」ではなく、まとまった「知識」の集約所としての書籍などの紙のニーズは充分に存在している。速報性のある情報はインターネットにおおむね取って代わられている。ニューヨークタイムズの広告売り上げは新聞紙広告を同社のインターネット広告が上回った。ニューヨークタイムズは「情報」中心のメディアであり、「知識の集約所」ではない。今回amazonがハードウェアの製造に踏み切った。これは、「情報」だけではなく「知識の集約所」までも紙から離脱することを意図する。深く追求すれば、紙は「森林」からの産物でもあり、二酸化炭素が地球上を急速に覆い始めるにもかかわらず、二酸化炭素を吸収するはずの「森林」は急速な反比例で減少している。そんなゴア的なエコロジーも同社のようなインターネット企業をハードウエアの製作に駆り立てたか否かは定かではない。
amazonが製作したkindleには練りこまれたたくさんの仕掛けが存在する。まず、スクリーンが紙の活字を読むのと変わらないくらいの質感にこだわったという。同社の言葉によれば「コンピュータ・スクリーンの緊張とギラギラと眩しい光」を出さない。これは「電子紙」とよばれる新しい高解像度ディスプレイを用い、モニタからの光の投射を抑えることによって達成している。そしてWiFiなどに代表される無線端末の消費者から見た最大のネックである通信料金を払う必要が無いという。amazonが通信費用をすべて持つという。ユーザーは、kindleを持ち歩いて、amazonにある大量の「知識の集積所」から試し読みを行い、電子化された書籍を買うことができる。もちろん新聞的な「情報」もコンテンツの中にはそなわる。大手ポータルサイトによる初のハードウエアとの融合という一面もあり、この点に関してはgoogleにはできないサービスをいちはやく商品化した画期的なこころみともいえる。「ソフトウエアの力」はOSやシステムだけではない。コンテンツは巨大なソフトウエアの集積でもある。


