amazonは、紙の歴史を塗り替えるか?ワイヤレスリーダー「kindle」
ルネサンスの三大発明のひとつに数えられる活版印刷はドイツのグーテンベルクにより15世紀半ばに発明された。それ以降インターネットが普及する20世紀までは絶対的な情報媒体であった。インターネットが普及した昨今でも、いわゆる「情報」ではなく、まとまった「知識」の集約所としての書籍などの紙のニーズは充分に存在している。速報性のある情報はインターネットにおおむね取って代わられている。ニューヨークタイムズの広告売り上げは新聞紙広告を同社のインターネット広告が上回った。ニューヨークタイムズは「情報」中心のメディアであり、「知識の集約所」ではない。今回amazonがハードウェアの製造に踏み切った。これは、「情報」だけではなく「知識の集約所」までも紙から離脱することを意図する。深く追求すれば、紙は「森林」からの産物でもあり、二酸化炭素が地球上を急速に覆い始めるにもかかわらず、二酸化炭素を吸収するはずの「森林」は急速な反比例で減少している。そんなゴア的なエコロジーも同社のようなインターネット企業をハードウエアの製作に駆り立てたか否かは定かではない。
amazonが製作したkindleには練りこまれたたくさんの仕掛けが存在する。まず、スクリーンが紙の活字を読むのと変わらないくらいの質感にこだわったという。同社の言葉によれば「コンピュータ・スクリーンの緊張とギラギラと眩しい光」を出さない。これは「電子紙」とよばれる新しい高解像度ディスプレイを用い、モニタからの光の投射を抑えることによって達成している。そしてWiFiなどに代表される無線端末の消費者から見た最大のネックである通信料金を払う必要が無いという。amazonが通信費用をすべて持つという。ユーザーは、kindleを持ち歩いて、amazonにある大量の「知識の集積所」から試し読みを行い、電子化された書籍を買うことができる。もちろん新聞的な「情報」もコンテンツの中にはそなわる。大手ポータルサイトによる初のハードウエアとの融合という一面もあり、この点に関してはgoogleにはできないサービスをいちはやく商品化した画期的なこころみともいえる。「ソフトウエアの力」はOSやシステムだけではない。コンテンツは巨大なソフトウエアの集積でもある。


